キューランブラー ~ Kew Rambler ~
1913年にイギリスのキュー植物園で作出された、とても生育旺盛なバラ。
春に基部の白いピンク色の小さな花を沢山つけ、ミントグリーンの葉を持ち、全体に優しい印象を受けます。
ラージ・フラワード・クライマーに分類されることもありますが、ランブラーとして扱う方が適切とされています。
ランブラーとツルバラの違いは、交配が繰り返されて近づいたために区別がつきにくいのですが、一般にツルバラは堅くて長い茎を持ち、
四季咲き性もあり、大輪の花や房になるものもあります。
ランブラーは、ほとんどの種類が長いしなやかな茎で垂れ気味になり、新しい茎が根元から出ることが多いです。
ランブラーのほとんどが一季咲きで小輪の房咲きです。
野見山
ローズ・デ・キャトル・ヴァン
古来、薔薇の花はたくさんの画家によって描かれています。
花の中でも絵心や詩心を刺激する最たるものは薔薇ではないでしょうか。
色彩を始めとして形や香りも心の中の内なるものへ訴えかける何かを持っています。
植物画家のルドゥーテがパリ郊外のマルメゾン庭園に集められた薔薇を描いた「バラ図講」が
植物画をアートに高め、あのピカソでさえ薔薇は綺麗に描き、
祖国スペインの解放運動の資金集めに協力しています。
「ローズ・デ・キャトル・ヴァン」 は、フランスのデルバール社の作出です。
木いちごの香りを含んだ強い香りを持ち、黒味を帯びた水彩絵具のクリムソンレーキに
ローズマダーを混ぜた様な沢山の花片が重なった花は見事です。
直立した枝は生育も旺盛で、濃緑色のは葉は少し内側に反ります。
ベランダなどでも充分に栽培出来ます。
野見山
一本の茎
遠い遠い遥か昔。
約四億六千年前に、根も葉もそして維管束(栄養分の通路や水を運ぶ管が束状になっているもの)もない、クックソニアという植物の
原型が誕生しています。
これは、高さが約3.5cm緑色の一本の茎が上の方で7本に板分れし、先端に黄色い胞子が付いています。
どの様にしても長い年月をかけて現在の樹木や草花、そして勿論バラに進化したのかと想像すると、なんとも云えない壮大な気持ちになります。
先日開催された“国際バラとガーデニングショウ”にも、原種からオールドローズ、フランス、イギリス、日本などの国内外のモダンローズと沢山のバラが出品されていました。
その中でも日本の育種家のバラは繊維で優美、微妙な色のニュアンスなどが表現され、日本の高温多湿の気候に順応する品種も多く作出されています。
河本純子さんのル・ブランやガブリエルなど香りも良く、印象に乗りました。
一本の茎から始まった植物がどの様に美しく強いバラに変化するのでしょうか・・・楽しみです。
アイスバーグ
19世紀、ヨーロッパノイバラに日本の野生バラと中国のコウシンバラを交配し
ポリアンサ系ローズと呼ばれる房咲きのバラがフランスの育種家ジャン・パプチスト・ギヨーにより誕生しました。
そしてポリアンサローズに四季咲き性の特性を活かしたバラをP・T・ポールセン(デンマーク)が
20世紀の初頭に交配を重ねフロリバンダローズが生まれました。
四季咲き性、花径約5~10cmの中輪房咲き、ブッシュ型の樹形を直立または株立ち状、耐寒性に優れています。
1958年ドイツのコルデスがフロリバンダローズの白花の代表ともいえるアイスバーグ(Rosa Iceberg)を作出します。
別名を白雪姫。
緑の輝く葉と白花がとても魅力的で強健でとげが少ないので育てやすい品種です。
このバラはマリア像に描かれているバラではないかと思うほど清純な感じがします。
特に新大陸で初めて聖人とされたペルーのリマの聖女ロサ(1586~1617)を描いた
クラウディオ・コエーリョ 「リマの聖女ロサ」 (プラド美術館所蔵)が腕に抱いたバラはアイスバーグを思い起こします。
春のバラフェア開催中です。
~5/27(日)まで。
関連商品ポイント5倍です。
綺麗に咲いたバラがたくさん入荷しています。
是非、見にいらしてください。
野見山
粉粧楼・・・当店スタッフの場合・・・
手こずることが多いバラですが、当店ベテランスタッフのWさんも同様のようでした・・・
数年前に店頭で見てその美しさに一目ぼれ、即日連れて帰った粉粧楼・・・それ以来
まともに咲いてくれない、と相談を受けたのが昨年バラフェアの終わった頃でした。
「どんな感じなの?」・・・と社内園芸相談が始まり半年ほどの間にあーしなさい、
こーしなさい・・・花は咲かせるな、蕾は取れ!殺菌剤撒きなさい、コガネムシに
気をつけて・・・肥料やりなさい・・・とにかく株に力をつけることに専念してもらいました。
そして昨年の秋には(写真)
この通り!見事に回復しました。
本人いわく、今までで一番良く咲いた。とのことです・・・
頑張れ~~~
4/27(金)~5/27(日)までバラフェア開催です。
木香薔薇 Rosa banksiae
4月も終わりに近づくと思い出す光景があります。
10数年前、京都の郊外で出会ったモッコウバラの生垣。
それは20mほど続き、キレイに刈り揃えられていて、
たおやかな春の気配の中で霞をまとった様な黄色の小さな万重咲きの花の連なりでした。
木香薔薇は中国から江戸時代の前期に渡ってきました。
常緑の低木で別名を木香花とも言います。
キク科のモッコウに似た香りを持ち、トゲが無く日当たりの良いところに植えれば
病害虫も少なく育てやすい品種です。
5月から6月にかけて咲く白い花は香りがよく干した根は芳香剤としても使われています。
スタンダード仕立てにして枝垂れるように咲かせても見事です。
黄モッコウバラはモッコウバラの変種で4月下旬から咲き始めます。
野見山
黄色のバラ
春に咲く色とりどりの花。
その中でも菜の花・ミモザアカシア・ポピーなど鮮やかな黄色に心惹かれます。
長い間、ヨーロッパには黄色のバラはありませんでした。
東南アジアの野生種「ロサ・フェティダ」は16世紀にヨーロッパに渡った最初の黄色いバラ。
別名「ペルシアン・ローズ」
1900年にハイブリット・パーペチュアルと交配してアプリコットイエローのモダンローズ「ソレイユ・ドール」が誕生しています。
モダンローズに黄色をもたらした貴重な品種です。
オールドローズとモダンローズの交配により作られたイングリッシュローズにも多くの黄色のバラがあり、
「グラハムトーマス」は豊潤で深い黄色の花でイングリッシュローズの中でも最高の品種のひとつです。
「シャルルオースチン」と「アイスバーグ」を親に持ち1983年作出。
育てやすく強健でティの香りがします。
野見山
ミルラの香り st,cecilia
1961年にデヴィット・オースチン氏によってイングリッシュローズの第一号、コンスタンス・スプライ(オールドローズ、ダマスク系のベルイシスとモダンローズのダインティ・メイドの交配)が誕生。
イングリッシュローズはオールドローズとモダンローズの特性が活かされていて香りが良く、四季咲き性のものが多いのが特長とされていますが、コンスタンス・スプライは一季咲きです。
初期の四季咲き性品種のワイフ・オブ・バスの実生からセント・セシリアが作出されます。
カップ咲きかロゼット咲きのこのバラはピンクにアプリコットの混ざった色で、ミルラにフルーツを加えたようなとても強く良い香りがします。
ミルラとはアフリカの小木で精油は古代の聖なる香りで殺菌・抗炎症作用があるために死者の防腐処理にも使われました。
今日では香水にも用いられています。
セント・セシリアは遠い昔のバラの香りがするかもしれません。
野見山
La France ラフランス
夕日色のバラ
“Lady Hillingdon”~レディ・ヒリンドン~
1910年にイギリスで作出され、1917年には“つるバラ”も作られています。
中国のコウシンバラとロサ・ギガンティア(中国原産、ミャンマーにも自生)を交配してティーローズが誕生し、レディ・ヒリンドンはその代表的な品種です。四季咲きで、剣弁。赤みのある紫色の枝と灰色がかった緑色の葉は春の夕日のように優しく、黄色がかったアプリコット色の花を引き立てています。
太い枝は丈夫でブッシュになるので、鉢植えでも 庭植えでも育てやすいバラです。
春と秋では香りが違うのも、ティーローズの魅力の1つです。